【ちょっと自慢させてください 5】 |
メトロ文学館で入選 |
久しぶりに応募したところ、入選しました。
会いたいけれど、もう会えない人たち。
会いたいけれど、もう会ってはもらえない人。
会いたいけれど、コロナに阻まれて会えない人たち。
そんな思いばかりが重なっていく夏です。
−−−−−−−−(以下は、入選作品の原文です)−−−−−−−−
秋さる
九十になる叔母が 訪ねてきた
帰りに 門を出たところで つまずき
背負うリュックが重たくて
と苦笑いしている
中を見ると 持たせたはずのない
たくさんの カボチャとパン
車で送る と話していると
叔母の近くで暮らす という傍らの女性が
荷物を持って 一緒に帰ってくれるそう
小さく遠ざかる 寄り添う ふたつの後姿
旅立ったところでも 優しい人に巡りあえた
と思いをはせて目覚める 回忌の朝
新聞に載っちゃいました 13 |
いや、一歩間違えると事件になっていたのかもしれません。
だって、「掲載するけんね」と東京新聞の編集担当者さんから連絡をいただいて、事の顛末を詳しく話していると「それって、新手な詐欺なんじゃなかろうか」と気づいた次第なんです。
いやー。
親切を装って悪事を働くなんて、なんという不届きモンなんじゃろうと思います。
まさに、狼は羊の皮をかぶってくるっていうことなのでしょう。
−−−−−−−−(以下は、今回の掲載文の原文です)−−−−−−−−
7月初めの土曜日の昼間。地下足袋を履く作業着姿の男が「週明けから近くで家屋修繕作業を行うので迷惑をおかけします」との旨を告げに訪ねてきた。その男は二週間後の平日の夕刻に再び来て「本日で作業が終わりました。足場へ上がって作業中にお宅を見たら屋根瓦がずれてるようです」と親切に教えてくれた。外に出て確認しても薄暮で良く見えないが、真直ぐであるはずの冠瓦が曲がっているようだ。「これからゲリラ豪雨や台風の季節なので早めに修繕されたほうが良いですよ」ととても親切な男。
早速、我が家を建築してくれた、十数軒先の何代も続く工務店に点検をお願いしたところ、「瓦の組み方によって曲がって見えるだけ。まったく問題ない」と言う。
「瓦がずれている」と作業着姿の男が親切に教え、数日後に「弊社の作業員からお宅の瓦がずれていると報告があった。修繕を承ります」と別の者が売り込みに歩く事例が、緊急事態宣言解除後に我が家の周りで頻発しているそう。
よくよく考えてみると、近所では足場を組むほど大掛かりな家屋の修繕工事は行われてはいない。飛び込み営業は門前払いされやすいので、どうやら親切を装って警戒を緩めさせる作戦なのだ。
「わざと瓦をずらして写真を撮り、修繕が必要だと説明する酷い業者もいるので注意。なかなか昇れない屋根や潜れない縁の下など、自身で確認しづらい場所は騙されやすい」と大工さん。
今後さらに景気が落ち込んだら、人を騙して儲けようとする者どもが多く現れるだろう。見知らぬ人からの親切ほどありがたいことはないが、こんなふうにして人間不信や疑心暗鬼が世の中に蔓延るとしたら何より哀しくて悔しい。
メトロ文学館で入選 |
前回は優秀賞(最上位賞)をいただいて地下鉄車内に掲出されましたが、今回は入選でした。
ちょっと残念な気もしますが、662編もの応募がある中で入選20作に残ったのですから素直に喜びます。
ただ、ボクの出自は写真なのだけれど写真作品を撮らずに、こんな文学に傾倒していて良いのかなあという思いもあります。
ほんとだったらスタジオで光を捏ね繰り回さなければならないのに、文字を捏ね繰り回していて良いのかと思うのです。
まあ、写真も文学も楽しいから良いかっていう感じなのかもしれません。